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【2019年9月26日放送】[麹町中学校]宿題・定期テストは廃止! 教育の常識を打ち破った 驚き公立中学の秘密

今回紹介するカンブリア宮殿は、珍しく企業ではなく、学校です。いま宿題なし、定期テストなしで話題の麹町中学校です。「学校は社会の縮図でなければならない」という考え方のもと、 「世の中を生きていくために何が必要か」を学ぶ場所にすべく、学校変革を行なっている公立の中学校です。ですが、この変革で目指されている人間像は、世の中の大人たちも多く追い求めているものだと思います。学ぶべきはむしろビジネスパーソン。それが今回のテーマです。

■学校は社会で必要なことを学べる場所でなければ

子供たちはいずれ社会に出なければなりません。いつまでも子供でいるわけにはいかないのです。なので、学校では社会に出て必要になることを学べなければならない。学べなければ社会に出てまともに生きていけなくなるわけです。ところが、実際の学校はそうはなっていない。それが、麹町中学校の工藤勇一校長が学校を変革しなければならないと考えた根本的な理由です。

では、社会に出て必要になることは何なのか? 番組を見て、私は4つあると思いました。自律、目的志向、対話、そして学ぶ力です。

■社会で必要なこと:自律

まず、自律。工藤校長は言います。「中学受験に失敗して「自分はダメだ」と思っている生徒も多い。人と比べている」。でも、人と比べる必要はない。それぞれ「ありのままでいい」。それは「誰からも否定されない」ということ。「すると自己開示ができるようになる」。ありのままの自分を出せるようになるわけです。実際、麹町中学校では単元テスト結果を、90点の子も、70点の子も、60点の子も互いに隠さないといいます。人と比べるわけではないので、ありのままを出せるのです。

問題は自分。自分がどれだけ理解できてるか、どれだけ理解しようとするかです。もっと理解できるようになりたいと、ありのままの自分として思えることが大切。だから自己開示できる子供は「挑戦ができるようになる」と工藤校長は言います。麹町中学校では、自分の点が不本意なら、自分の意思で再テストを受けられる。多くの子が勉強しなおして再挑戦します。しかも、成績に反映されるのは良い方の点。自分で判断し、自分で挑戦するのです。

人と比べず、ありのままの自分を自己開示し、なので挑戦ができる。こうして自分で考え自分で行動できるようになる。これが工藤校長が考える自律です。ビジネスの場面でも、こういう人は、自分の考えを持ち、前向きで、クリエイティブです。こうした人になれれば、社会に出て大いに活躍できるでしょう。でも、こういう人は実社会でも少ないんじゃないか?

■社会で必要なこと:目的志向

次に、自律するようになれば、目的志向が生まれてきます。工藤校長は特に学校における目的志向の欠如を指摘しています。「子供にとっては、目的がない行事や教育を積み重ねるのは、大人が考えるより罪」。たとえば、「宿題は何の役にも立たない。自分に必要のないことをやらされて、それをこなすことが仕事だと教えられる」。さらに、校則については「服装や頭髪はもともとどうでもいい話。どうでもいいことにこだわるのは1日24時間しかないのに人生の無駄。世の中のルールと同じでいい。余計なルールはいらない」。何のための宿題なのか、何のための校則なのか。それをほとんど考えず、宿題をやらせること、校則を守らせること自体が目的となる。

たとえば、宿題は十把一絡げにみなに同じものが出される。でも、1人1人にとって学ばねばならないものは違うはず。自分には必要がないと思っても、ともかくこなすことが目的になる。仕事の現場でも不要な業務を前任者から引き継いだというだけの理由で延々とやっているケースがありますが、そんな感じで意味のないことをひたすらこなすだけ。これではダメ大人になるだけです。麹町中学校では宿題をなくした。そうすると国語の苦手な子供は放課後国語を中心に自習をするようになる。自分は何をしなければならないか。自律した子供は自分でやるべき目的を見出すわけです。

ビジネスの領域でも、目的を自ら設定できない人は、ひたすら指示を待っているだけの「指示待ち族」になってしまいます。しかし、そういう人はまれにしかいない、というわけではありません。子供時代に目的もわからず、ただ言われるままにやらされてきた人は、往々にしてそういう大人になってしまう。工藤校長の言うように学校がいかに大事かということでしょう。

■社会で必要なこと:対話

さらに、目的志向ができれば、人と対話ができるようになる。工藤校長によれば、仲のいい人とだけしか話せないというのではダメ。内心合わないなと思う人とでも対話ができる必要があります。では、何がそれを可能にするのか。それが目的なのです。麹町中学校ではスキルアップ合宿という行事があります。泊まり込みで対話の訓練をするのですが、4人ぐらいのグループで、たとえば「日本の未来を良くする方法」というテーマで話し合い、議論し、その結果を最終日にグループで発表するのです。日本をいかに良くするかの解を探るという一つの目的のために、互いの仲の良し悪しとは関係なく、時には対立したりもしながら目的のために議論をまとめていくわけです。

目的志向で人と人とが関わり合う。これはビジネスにおいても最も重要なスキルの一つでしょう。企業は仲良しグループではありません。市場における価値実現という目的のために多様な人たちが互いにさまざまな建設的関係性を形成していかねばならないのです。ですが、これもそう簡単でないことをビジネスに携わる多くの人たちは良くわかっているのではないでしょうか。

■社会で必要なこと:学ぶ力

そして、自律、目的志向、対話の先にあるのが学習です。工藤校長は言います。「日本の受験制度は記憶力のいい子が大学に行ける仕組み。重要なことは分かるか分からないかを区別して、分からないことを分かろうとすること。つまり、学力を上げるための能力を身に付けること」。学んだ内容以上に重要なのが、学ぶ方法を学ぶことでしょう。

これは、ビジネスパーソンなら、身に染みて感じるところではないでしょうか。大学までで学ぶことなどごくわずかです。実社会の中で学ぶことの方が遥かに多い。変化の激しい今日、必要な知識やスキルもどんどん変わっていきます。いま持っている知識やスキルも古くなっていく。なので、実社会で生き残っていくためには常に新しいことを学ばなければならない。そのとき、決定的に重要になるのが学び方を知っていることなのです。どんな学び方が自分にあっているのか。学んだことをどのように吸収するのか。吸収したことをどのように行動化して実際に付加価値を生み出せるリソースにするのか。そうした自分固有の「学び方」を身に付けているかどうかで、実社会では決定的に差がついてしまのです。そして、この学ぶ方法を身に付ける出発点が学校にあることは間違いありません。

■【結論】自律、目的志向、対話、学ぶ力は大人にとっても目指すべき人間像

自律、目的志向、対話、そして学ぶ力。こうして見てくると、これはまさに実社会で不可欠な要素だと言えるでしょう。もちろん、だからこそ、工藤校長は、学校でこそそれを学ばなければならないと考え、学校変革に乗り出したわけです。しかし、実社会を見渡したとき、大人の私たちも決して十分でなことがわかるでしょう。私たちこそがまだまだ学んでいかなければならない。それは、現代社会において目指すべき一つの人間像だと言えるでしょう。単なる学歴だけでは、もはや世の中を渡っていくことはできなくなっています。子供も、私たち大人も、生き残っていくためには、自律、目的志向、対話、そして学ぶ力をさらに深めていかねばならない。良くも悪くも、時代は音を立てて変わってきているのだと思います。

 

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