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【2019年8月8日放送】[オンデーズ]倒産危機から奇跡の復活!メガネ業界の風雲児 不死鳥伝説

自社のビジネスで扱っている商品サービスの価値について、私たちはどの程度分かっているでしょうか。機能とかスペックのことではありません。価値についてです。顧客の生活で、世の中で、どれだけ役立ち喜ばれているか。あるいは、どれだけ役立ち喜ばれる可能性を秘めているか。そのことを本当に分かっているでしょうか。今回のメガネチェーンのオンデーズの話では、そのことを考えさせられました。メガネと言えば、主に視力を矯正するためのものですが、そんなことにとどまらない価値が秘められている。それは初めから見えているのではありません。いろいろな試行錯誤の中で見えてくる。今日はそれがテーマです。

■14億円の負債を背負って「やってみよう」

社長の田中修治さんの経歴は異色です。高校卒業後、「便利屋」をやり、そのあと、漫画喫茶や携帯ショップ、居酒屋などを手掛けますが、20代半ばで借金が2億8千万円に。が、2004年にWebページの制作会社を起業。これが当たり、4年で借金を返済。そのころ、あるメガネチェーンの再建先探しを頼まれます。仲介金のために引き受け、いろいろな会社に売り込みに行きました。ところが、そのメガネチェーンには14億の負債があり、倒産寸前で、どこからも断られ、しまいには「そこまで言うなら、自分でやったら」い言われる始末。ところが、田中さん、本当に自分でやってみようと思ったんだそうです。あちこちに説いて回った再建の仮説を自分で検証したくなったのです。

借金が好きなわけではありません。2億8千万円の借金のときも夜一人で泣いていたと言いますから、決して借金に特別強いわけではない。ですが、2億8千万円の借金が2,3千万円ぐらいだったら、14億円の負債を負おうとは思わなかっただろうとのこと。2億8千万円の借金は経験上確実にベースになったのです。

ということで、財務諸表を見れば誰が見ても倒産寸前とわかる会社。再建はムリ。でも、田中さんは言います。「なんでみんな「無理だ」と言うんでしょうか。甲子園で優勝しているチームは優勝したいと思った人からしか絶対に生まれない。できると思えば0.01%でも可能性は生まれます」。かくしてリスクをとることになります。なので、メガネビジネスに踏み出したのはたまたま。特にメガネに思い入れがあったわけではないのです。

■10万本単位で発注

まずやったのは全50店舗を回って従業員の話を聞くこと。不満が噴出したのですが、その中でも田中さんがショックだったのが、社員が自腹でメガネを買って売上を上げていたということです。それも売れ残りの中国製。「論外」。そこで田中さんは社員が自分で買いたくなる商品を作ろうと思った。メガネ展示会などを回って模索するうち、曲げても壊れないフレームに出会います。「これだ!」と思った。早速作っていた鯖江のメーカーに行って交渉。1つ1500円で作れないかと話すと、10万本単位で発注してくれるならOKとの返事。賭けではあるが、この条件を飲み販売します。この曲げても壊れないメガネが評判を呼びヒット。半年で売り切ることになります。その後もプライベートブランドを次々と立上げヒットを連発し、8年で借金完済。それだけではありません。社員が自分から自社のメガネを買うようになったと言います。田中さんはこれが一番うれしかったとのことでした。

■「オンデーズで買うのが一番安心」と言ってほしい

そんな中でオンデーズが一番力を入れることになったのは、保証。メガネは実際かけてみて、3日、4日、1週間と過ごしてみてはじめて良し悪しがわかります。正解が後からわかるわけです。だから、1年以内なら2回まで無料でレンズ交換ができ、1ヶ月以内なら全額返金も可能にしている。それが安心を生むのです。田中さんはお客さんからは「オンデーズで買うのが一番安心だ」と言ってほしいと言います。安心という言葉の中には、「すぐやってくれる」とか「値段がシンプル。明朗会計」だとか「接客がていねい」といったすべてが含まれているからです。オンデーズがメガネの本質を深く理解している証拠です。メガネにかかわる価値の理解はこうして広がり、深まっていったのです。

■東日本大震災のときのある女性の感謝の言葉

この価値の広がりは、これにとどまりませんでした。東日本大震災のとき、オンデーズは避難所でメガネを無料配布します。家族から離れ、1人避難所にいた女性がこのメガネを手にします。家族の安否情報を探し求めていたこの女性は、それで初めて掲示板が見れるようになります。彼女は他の避難所の避難者名簿の中に家族の名前を見出します。どれほど嬉しかったか。この女性に心からの礼を言われた田中さんは、メガネが人を救うということに感動し、自分たちは思っている以上にいい仕事をしていることに気づかされたと言います。このときからオンデーズはひとつの理念を掲げるようになります。「オンデーズにかかわるすべての人を豊かにしたい」。豊にするとは「昨日してあげられなかったことを今日してあげられること」だと言います。

■さらにメガネから広がる価値

メガネに秘められた価値は、さらに広がっていきます。「アイキャンプ・プロジェクト」。2015年から途上国にメガネを無料配布するプロジェクトが行われています。それにより人々の生活が大きく向上しています。また、「盲導犬育成支援プロジェクト」。店舗で視覚障害のある人を案内誘導するための研修を実施するとともに、店舗の募金や売上の一部を盲導犬育成のために寄付している。盲導犬はいま必要な数の3分の1しかいないんだそうです。

こうして、メガネを中心にしてその秘められた価値を引き出し、それを広げ深めていっている。メガネという1つの商品サービスがこれほどの価値を持つわけです。

【結論】挑戦によってはじめて現れてくる商品サービスの秘められた価値

メガネにかかわる田中さんの歩みは、メガネが秘める価値の発見の連続だったんではないでしょうか。初めからメガネに一定の造詣を持っていて、それを実現するべく計画的に進めるというようなタイプであれば、こうはならなかったと思います。もともと理解していたメガネのイメージに縛られていたのではないでしょうか。しかし、田中さんは、メガネビジネスを始めたのは全くの偶発。たぶん、メガネに詳しくはなかった。それが、14億円の借金を背負い、10万本単位の発注をし、プライベートブランドを立上げ、震災の現場にいくといったチャレンジングな行動に出るたびに、思いもしない世界が開け、予想もしなかったメガネの価値が現れ、それに捉えられていった。自分たちの商品サービスの価値は初めから見えているわけではありません。むしろ、挑戦とリスクテイクの中で一つ一つ新しく現れてくる。この体験が素晴らしい。私たちは自社の商品サービスの価値をまだ十分に発見していないかもしれません。チャレンジングな行動に出ることにより、その価値を発見していく。そこにビジネスの醍醐味があるんじゃないでしょうか。

 

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