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【2019年8月1日放送】[ロゴスコーポレーション]”簡単・便利”でファン殺到!初心者が熱愛するアウトドアメーカーの秘密

今回一番印象に残ったのは、「業態転換はある意味では簡単。それをしなければ生き残れないからです」という言葉でした。ロゴスは知る人ぞ知るアウトドアメーカーですが、もともとは船舶用品問屋でした。業態を転換したのです。業態転換とは事業を根底から変えること、イノベーションと言ってもいい。これは、難しいと考えるのがふつうです。簡単なわけはない。なぜ、それが簡単なのか。そこが今回のテーマです。

■倒産寸前

ロゴスは1928年に現社長柴田茂樹さんの祖父が創業した船舶用品問屋が始まりです。この船舶用品問屋は戦後、高度成長の波に乗って急成長します。しかし、70年代以降、造船は不況に陥り、苦境に。2代目の父は、活路をヨットやウインドサーフィンに求めましたが、これも鳴かず飛ばず。柴田さんが入社した1982年にはすでに倒産寸前という状態でした。

■きっかけは「父ちゃん、かっこいいな」

当時、テーブルセットだけ売れていました。浜辺で使う折り畳み式の持ち運びできるテーブルセットです。ここにアウトドアに向かうきっかけがあった。柴田さんはバーベキュー用の炭に素早く火をつけるのが得意だったとのことで、家族でキャンプに出掛けたとき、子供の前でやって見せました。「父ちゃん、かっこいいな」。子供の目が輝いていた。このこともきっかけになって「アウトドアなら生き残れる」と思ったそうです。

■ファミリー用のテントをホームセンターで売る

まずファミリー用のテントに目を付けました。既存メーカーのテントを徹底的に研究し、当時5万円以上していたのを2万円で企画。低価格戦略をとりました。ちなみに、当時の国民宿舎が一人一泊5千円。家族4人で2万円。で、2万円にしたのだそうです。あくまで家族が中心だったのです。柴田さん自身、自分の家族でのキャンプ体験が出発点となっています。自らの体験から新たな事業を発想するというのは極めて重要なポイントだと思います。顧客の気持ちがわかるのは、自らが顧客になることによって、だからです。

こうして作った2万円のテント。まず、当然アウトドアグッズですから、アウトドア専門店に持ち込んだ。でも、置いてもらえませんでした。当時アウトドアと言えば本格的な登山等を志向していて、ファミリー用のテントは想定外だったからです。そこで今度は、ホームセンターに持ち込んだ。当時ホームセンターは草創期で、こだわりなくファミリー用テントなど一式置いてくれたのだそうです。これがきっかけでロゴスの製品は売れ始めます。ホームセンターには必ずしもアウトドア志向の人が来るわけではありません。むしろその名の通り来るのは家族連れでしょう。その人たちにとって2万円のテントは魅力的だったはずです。

■「家族のためのアウトドア商品」という新ジャンルの創出

これをきっかけに、柴田さんは「家族のためのアウトドア商品」へ明確に方向を定めます。アウトドア専門店に置いてもらえなかったことからもわかるように、このジャンルの商品は販売するところもなかった。つまり、全く新しいジャンルだったわけです。これまで世の中になかった新たなジャンルを創り出した。この新しいジャンルの定義は実に見事です。ロゴスでは「5m-800m戦略」と呼ばれているのですが、要は海辺5m、山の標高800mを活動範囲とする初心者や家族連れをターゲットとするということです。こう定めると打つ手が次々出てくる。まず、「簡単に組み立てられる」ことが第一要件になります。テントでも、親子が会話している間に1分ぐらいで組み立てられるのでなければならない。また、そのため、買う前に店舗で組み立ての体験ができるようになっている。マットも栓をとれば空気が入って自動的に膨らむ。食器は立つように作られているので、洗った後置き場所に困らない、等々。ターゲットは誰なのかを明確に定め、そこに徹底してこれまでないものを生み出す。担当の人は言います。「ないものを創造する」。「こんなものがあるんだという感動が一番の目標です」。

■生き残るための業態転換

この新たなジャンル創出がすごいなと思うのは、それが倒産寸前状態から実行されたからです。倒産寸前ともなれば、目先の売上や資金繰りに追われ、すぐ売りにつながるようなものに目を奪われがちです。しかし、柴田さんは「家族のためのアウトドア商品」という全く新しいカテゴリー創出に挑戦した。なぜそんなことができたのか。ここで初めの言葉が出るわけです。「業態転換はある意味では簡単。それをしなければ生き残れないからです」。つまり、問題は生き残るとは何なのか、ということです。目先の売上や資金繰りに追われることは、何ら生き残りにはならない。本当に生き残るには、顧客に喜んでもらえるもの、買ってもらえるものを生み出す以外にない。そういうことなんだと思います。

【結論】イノベーションは「生き残り」の次元でしか生まれない

「生き残るため、存続するためにできることは何でもしようと思った」。「火事場のくそ力です」。この「くそ力」が新たなジャンルを生み出すエネルギーになった。イノベーションとは結局、「生き残る」という次元でしか生まれないんだと思います。上面でイノベーション云々と言っているだけではどうしようもない。生き残りをかけて闘っているという次元でのみ、何としてもイノベーションを起こすというエネルギーが供給されるのです。もちろん、それは必ずしも倒産寸前ということを意味しているのではありません。要は危機感なんだと思います。たとえ経営上余裕があったとしても、優れた企業は常に危機感を持っているでしょう。この危機感こそがイノベーションの源泉ではないか。危機感なき企業はイノベーションと無縁でしょう。

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